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「ところでおじさんも武器を持ってますけど悪い鬼を退治しに行かれるのですか? もしそうでしたらきびだんごあげるので僕のお供になりません?」
「おと……い、いや、我輩はクリスタルを探す旅に出ている最中である」
「さっきからおっしゃってますけどなんですのその、くりすたるって」
「なっ? 娘よ、冗談もほどほどにせい! この世界の人間が七つ集めれば絶大な力を手に入れるという伝説のクリスタルを知らぬわけがあるまい! この世を支配しようと企むバドリア帝国より先に集めねばならぬのだ!」
「そんなの初耳ですわ。それに世界を支配しようとしているのは魔王バラモヌではなくて?」
「……ばらもぬ? なんだそいつは」
「嘘!? 大昔からこの世界を恐怖に陥れているバラモヌを知らない? どこまで非常識なんですの! あなたもバラモヌを討伐しに行きますのよね?」
「いえ、僕はえんま大王に愛と勇気を伝えるために鬼ヶ島に向かっている途中です」
「「誰!?」」
やがて、騎士と娘はひとつの結論に辿り着いた。
「……どうやら我々、違う世界の住人のようであるな」
「……そのようですわね。おそらくこの迷いの森の不思議な力が、それぞれの世界からあなた方を迷い込ませたようですわ」
三人は納得した。道理で話が合わないわけだと。
「まあその、とにかく回復アイテムは自分に適合した物を使用するのが一番ということであるな」
「ですわね。私も村に帰ったらポーションに負けないくらいよく効く薬草を開発してみせますわ」
「あの、そんなに回復道具にこだわる必要ないかと思います」
「「なぜ?」」
「宿屋に泊まれば一気に回復するんで」
「「そこは一緒である」ですわ」
FIN・END・完
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