赤い愛は鼓動する

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「フットサルに誘われてるの。一緒に行こうよ」  休憩時間や夕方、合宿仲間から遊びに誘われると、美冬は必ず俺も誘ってくれた。今日は合宿所近くの空き地でフットサルをしに来ている。美冬は少しだけふくよかな体型をしていることもあり、運動は苦手なようだ。しかし、何をしていてもそれを初めて体験する子供のように無邪気に楽しんでいた。  美冬はきっと特別な人間だ。魂の色を二つ持っている。赤色の輝きが強すぎて最初は気づかなかったけれど、ちゃんと目を合わせた時、黄色も見えた。しかも、黄色の方も赤い光ほどではないが、なぜ気づかなかったのかが不思議なほどの強い光を放っていた。二色の魂を持つ人は稀にいるが、そのどちらもが強い光を放っているなんて異常事態だ。たいていはどちらかの色は微かな光しか放たない。  そんな特別な美冬が俺に構ってくれれば当然舞い上がる。美冬ともっと話したいのに、上手に話せない自分が大嫌いだ。 「合宿終わったらさ、本免試験も一緒に受けに行かない?」  合宿終盤の夕食時、美冬は俺を誘った。 「うん。ぜひ」  俺は二つ返事で了承する。夕食に刺身が出ていたが、合宿後も会えることに対する祝い膳のように見えた。 「お刺身好きならあげる」  俺が幸せを噛みしめていると、美冬が自分の刺身皿を俺に渡した。 「食べないの?」 「昔は好きだったんだけど、生魚食べられなくなっちゃって」 「そうなんだ。ありがとう」  美冬が優しくしてくれた。それだけでいい夢が見られた。
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