今宿題やってるから！

　夏休みはワクワク感が止まらない。勉強しなくていい、学校行かなくていい、毎日遊んでいられる、何をやろうか考え始めたらきりがない。
　でも夏休みには宿題というものが出される。一か月以上勉強しなかったらバカになっちゃうでしょうとか、大人はなんかいろいろ言うけど。まず頭を悩ませるのはこれなんだ。

「夏休みの宿題を最初にやるか毎日やるか最後にまとめてやるか」

　秘密基地に集まって、夏休み緊急会議をした。もちろんみんな夏休みが楽しみで仕方ない、まずは最初に思いっきり遊ぶもよし。でも後で楽できるように最初に宿題を終わらせちゃうのもありだ。
　俺たちはみんなで助け合ってきた。頭がいいやつ、計算が苦手なやつ、絵の具いっぱい持ってるやつ。誰かが誰かの苦手を手伝いあって協力してきた。

「一番つまらないのは漢字と計算問題だ。こんなの学校の授業でやってるのと変わらない」
「つまらないのは最初にやっちゃうに限るね。さっさと終わらせちゃった方が気ィ楽だし」

　やることが決まっていてやってしまえば終わるものはさっさとやってしまおう、それは全員同じ考えだ。国語と算数、読書感想文、絵を一枚仕上げる、習字。これはつまらないレンジャーたちだ。
　そんな俺たちの話を夏休みの間だけおじいちゃん家に遊びに来たと言う、タツマがちょっと退屈そうに聞いている。小学五年生で、オジュケンとやらがあるらしい。六年生になったらとても遊んでいられないから今年は思いっきり遊ぶぞってことで来たんだそうだ。

　他所から誰か来るなんてないから俺らは盛り上がった。夏休みの間だけ俺たちの仲間だ、そう言ってアイスキャンディで乾杯をした。
　遊ぶための努力は死ぬ気で頑張る。とりあえず全員で協力して面倒なのは全部終わらせてあるから、いよいよ他の夏休みの宿題だ。

「宿題だと思うとやるから嫌なんだよな。遊びだと思えば絶対楽しい」
「そうそう。これをやりなさい、あれをやりなさいって言われるの本当に嫌。だからこれが一番すごいんだよ」

みんなで夏休みの宿題一覧表を覗き込む。

「自由研究」