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「ガタイの差とか、気にしてるんスか? そういう問題じゃないでしょ」 「それは大沼にも言われた」  そびえ立つスカイツリーを眺める。俺もあんなふうに立派に雄々しくいられたらいいんだけどなあ。見た目がダメなら、せめて心だけでも。 「えっ? 大沼さん、なんて?」 「小柄なの、気にしすぎだって。あと……」  誰かに言うのはもったいない気がして、言いよどむ。それに恥ずかしい。 「あと、なんスか?」 「……俺のこと、かっこいいって」  こっそり言うと、寺田はまた大げさなくらいため息をついた。外国人みたいなオーバーアクションで肩を落とす。 「先輩、そこまで言われてんのにお茶しただけで帰るとか、ダメダメじゃないスか! ちょっと押せば絶対落とせますよ!」  バシッと肩をたたかれる。先輩後輩って言ってもたった一歳違い。寺田は年のわりに場数踏んでて、恋の駆け引きってヤツにも慣れてるんだろう。  言われてみれば、別れる時の大沼は少しさみしそうだったような?  「恋愛も仕事みたいに前のめりで行かないと。大沼さんで童貞捨てるとか、最高じゃないスか。たぶん向こうは慣れてるから、優しくしてくれますよ」  ニヤニヤしながら、俺の肩に置いたままの手で肩を撫でる寺田。汗のにおいが鼻をかすめる。 「バ、バカお前! 下品だぞ!」  さらっと俺が童貞前提で言うけど、事実だからその点はなんも言えねえ。でも、エロい大沼を妄想するとか、許さん!  思わず大声を出すと、寺田は急に真顔になった。 「すんません、調子乗りました。でもマジな話、大沼さんがこんだけ好きだってサイン出してるのに。迷うことなんてあります?」
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