4

18/21
前へ
/69ページ
次へ
 目を覚ますと、部屋はすっかり暗くなっていた。なんか重いと思ったら、大沼が俺に抱きついて、足も絡めるようにして眠っている。ぬいぐるみを抱いて眠る子供みてえだ。こんな俺を本気でかわいいと思ってるらしい大沼にとっちゃ、俺はぬいぐるみみてえなもんなのかもな。  今、何時だろう。時計はないかと、部屋を見回す。  ベッドの右上の窓に、リビングと同じグレーのカーテン。部屋を入って右奥、備えつけのクローゼットの横に、チェスト。ただそれだけの、シンプルな部屋。掛け時計はねえ。今になって気づいたけど、ベッドは男二人でも狭さを感じないから、たぶんダブルだ。  一人暮らしなのにベッドがデカいのは、同棲の名残なのか。それとも、単に広いベッドが好きなだけか。モテるヤツだから、いつでも誰かを連れこめ……って、大沼に失礼だろ。  気持ちよさそうな無垢な寝顔を眺める。勝手に嫉妬でもやもやして、ゲスいこと考えちまうのはもうやめにしねえと。  ベッドヘッドがちょっとした棚になってて、デジタル時計が置いてあった。その横にあるのは、照明のリモコンか。さっきまではもう夢中で、部屋の様子なんてほとんど見えちゃいなかった。  時計は六時を過ぎてる。結構寝ちまったな。  ベッドの足もとの方にかろうじて引っかかってる黒いものは、俺らどっちかのパンツか。なんかはずい。俺、本当に大沼とエッチしたんだな。夢みてえだわ。  左腕はしっかり大沼に抱きつかれてるせいで動かせなくて、右手でそっと大沼の髪を撫でる。 「……いつき……」 「ごめん、起こしちまったか」  眠そうに目をこすりながら首を横に振る、無防備な顔。 「もうすっかり暗いね」  大沼はベッドヘッドに手を伸ばし、リモコンで照明をつけた。
/69ページ

最初のコメントを投稿しよう!

387人が本棚に入れています
本棚に追加