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「何のこと?」
キョトンと、音々が首を傾げる。
「だってドイツ行ったら、次にいつ会えるかなんて」
「あぁ。留学ね。冬休みに短期で行くの。緊張するけど、頑張ってくるわ」
「――はぁ⁉︎」
短期?冬休み?
「聞いてない!」
「そうだっけ?さ、練習しよ。この音々さまが、直々にレッスンしてさしあげますわ」
「ちょっ……あんた、キャラ変わりすぎ!あのお嬢様然としていたのはどこいったの?」
「今更、詩に猫被ってどうするの?ほら、文化祭までにきっちり仕上げるわよ」
……騙されたぁ。
でも、嬉しく思っている自分がいる。
音々とまた、こうして笑いあえる日を、心のどこかで願っていた。
隣に並んで、ベートーヴェンを奏でながら、いつまでも。
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