Knockを奏でる日

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 信じられない!  人に何の相談もなく、こんなことを決めるなんて。  ありえないんだから。  気持ちとシンクロした不機嫌な足音は、まだ鳴き続けるセミの声に負けじと音を鳴らして、目的の教室へと向かう。  近づくにつれて、微かだったピアノの音が段々と他の音と共鳴しはじめる。  ガラッと乱暴に扉を開ければ、驚いた顔もせず悠々とピアノを弾いている、黒田音々(ねね)がいた。  黒田は一瞬、私を視界に捉えたかと思ったのに、手を止めることなくピアノを弾き続ける。  その様子にイラッときて、そのまま私はピアノへと近づいていった。 「黒田!どういう事!?なんで、私があんたと一緒に文化祭に出ることになってるのよっ」  手に持っていた紙を黒田の前へと突きつける。さすがに黒田も手を止めて、こちらを見た。  肩で切りそろえられたサラサラの黒髪。凛とした姿勢。意志の強そうな瞳で見つめられると、その芯の強そうな目力に負けて、ついたじろいでしまう。  でもこれに関して、私は絶対に文句を言う権利があるはず。  負けじと黒田をにらみ返すと、ふっと笑われた。 「だって、体育館の演目時間が空いているっていうんですもの。今年は野外ステージもあるから、軽音とかは、そちらに流れたんですって」  それだけ言うと、またピアノを奏ではじめる。 「だからって、それがなんで私とあんたで連弾することになってるのよっ!」
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