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さっき生徒会役員から渡されたこの紙。文化祭体育館割り当て表。
そこには、「黒田音々・川本詩 ピアノ連弾」とされている。
「私はピアノなんてっ」
「ピアノなんて?」
抑えた声で立ちあがった黒田は、じりっと私の方に詰めてくる。
思わずその迫力に一歩後ずさりする。だってこいつ、妙に迫力あるんだもん。
「ねえ?川本さん。『ピアノなんて』なんなのかしら?」
「あ、いや、その……」
「私との連弾なんて出来ない、と?」
「だ、だって。私は……」
「大丈夫。譜面はこちらで用意するし。まだ文化祭まで日があるわ。練習時間はたっぷりよ」
有無を言わさないにっこりとした微笑みを私に向ける。
「それじゃあ早速。明日の朝から練習しましょうね。それじゃあ」
呆気にとられる私をよそに、黒田はさっさと身支度を整えて、音楽室から出ていった。
「な……なんで、こうなるのよ」
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