そうだ、北国へ行こう。

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そうだ、北国へ行こう。

 私は現役バリバリのOLだ。  高卒で今24歳だからこのビジネス系の会社で6年くらい働いている。  彼氏はおらず、出会いなんてない。生涯独身なんて上等じゃないと思っている。  そんな私だが、何故か限界を感じていた。  何故だろうと、つくづく思いながらノートパソコンと向き合ったり電話対応したりしていたが、一体何がしたいと・それでいいの?と自問自答する時もあった。  確かにそうだ。  同僚の恋バナを聞いたりわざわざ残業してまで居酒屋やカラオケに付き合ったりもした。  しかも先輩の結婚報告も聞き、拍手して祝福した。  私は決断を下した。そう。  ーそうだ、北国へ行こう。そこに移住しよう…。  まずはネットやら買い漁った本やらで北国について学んだ。いつの間にか本には付箋だらけになった。  さらに移住に必要な費用も計算したら、数十万くらいすると知り、愕然とした。  悩んだ結果、こう結論に至った。  ー誕生日まで移住計画を実行すればいいんだ…。  誕生日まであと1年。  私は節約しながら費用を稼いだ。  移住後には新しい出会いが待ってるだろう。時間かかると思うけど、喫茶店とか開きたいな、と想像した。  もちろん両親にも報告した。母親は驚いたが、父親には好きにしろと言わず頑張って来いと背中を押してくれた。  本当に感謝してる。ありがとう…。  それから1年。  誕生日が過ぎ、私は長年働いた会社を退職した。円満が付くけど、それでいい。 「今までありがとうございました。移住先でも頑張ります」  花束を手に、笑顔で退職の報告をした。  拍手で見送ってくれた。頑張れとか、元気でね、とか言って励ましてくれた。  元OLになった私は飛行機でその北国へと足を運んだ。  ネットや本で見ての通り空がきれいで、いい風が吹いてる。大正解と言ってもいい。 「ようこそ北国へ、か…」  こうして北国で元気に過ごし、第二の人生を送る事になったのだったー。 《完》  
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