美しき死神

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桜の花びらが夜空に舞い上がる。 降り注ぐ薄紅色の中で、もう一度確かめるように梔子を見る。 花びらの行方を見守る梔子の眼差しは、酷く優しい。 ただそれだけのことなのに、愁哉は息が苦しくなる。 魔法使い。 次の戦争において、武器になるかもしれない女の子。 立場上、いらぬ感情を抱くべきではない。 ただの道具として見るのが正解だ。 なのにーー。 この夜のことは当分愁哉を苛んだ。 目を閉じると梔子の顔が浮かび、いつまでもいつまでも落ち着けなかった。
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