美しき死神

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つまり、最初からそのつもりだったのだ。 「なら、暗殺のことは……」 「びっくりしました」 それはそうだろう。 愁哉は肩を落とした。 あまりにも淡々としてるから、梔子も分かっていることだと思っていた。 「でも言ったじゃないですか。『正体をご存知ですのね』って」 「鎌掛けです」 梔子はくすくす笑った。 「でもお陰で、中尉の狙いが分かりました」 国分寺はあの男を、魔獣に殺させるつもりだったのだ。 言葉の裏を読めぬとは、諜報員失格ではないか。 落ち込む愁哉を見て、梔子は体の後ろで手を組んで、斜め下に視線を落とした。 「土壇場で、ですけどね」 魔獣が飛び出してくるまでは分からなかった、と。 「はは……」 愁哉は苦笑した。 分からなかったより幾分ましだ。 なにより、軍内部の不祥事を喋ってしまったことが痛い。 これは充分弱点となりうるだろうに。 梔子はいつか、このことを利用するだろうか。 その前に彼女の弱みを握るべきかーー。 「私も園部様に聞きたいことがございます」 梔子が足を止めた。 2歩遅れ、愁哉も立ち止まる。 振り向くと、本当に不思議そうな顔で梔子が首を傾げていた。
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