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なんで? どうして? カンニングなんてしていないのに……私はその気持ちを心のなかだけで抑えきれず、声に出して抗議した。
「……してません。そんな余裕なかったです」
「では、どうして入学から五年生になるまで、ずぅっと赤点だったエイルさんが、いきなり百点なんてとれるんですか?」
「それは……勉強、したからです」
嘘ではない。でも、赤点だった頃から、私は、毎日八時間は勉強をしていた。それでも思うような結果が出せず、赤点ばかりだったのだ。特定の教科が苦手なわけではない。逆に、実技教科も含めて得意な教科があるわけでもない。体育と家庭科は、他の教科よりは自信があるけれど、それでも人並みだ。
どの教科もまんべんなく勉強していて、それでいて、まんべんなく赤点だった。努力しても、何の成果も得られない日々は、じわじわと心を蝕んでいた。けれど、カンニングのような、一線を超える行為を望んだことはないのだ。愚直に、いろんな勉強方法をためした。耳をふさいで音読するとか、ひたすらノートに書き写すとか、用語で替え歌をして、リズム感で体にしみ込ませるとか……とにかく、正攻法から変なことまで、何でもやった。
――結局、どんな勉強方法も、私には効かなかった。
それなのに、ある日、突然、私のテストの点数はうんとよくなったのである。
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