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夢を叶えるべく、私とルノは十三歳から王都の魔法学園に入った。 規模の大きな学園で、私はヒーラークラス、ルノは騎士クラスと専門の勉強をしている。
そしてこの頃から私はルノにおくすりをあげることに疑問を感じた。
一つ目の理由は、私がルノを回復できるようになってきたこと。入学してますます傷が増えたルノに治癒魔法をかけたり、薬を塗ったり。
おまじないのようなおくすりに頼らなくても、ルノを癒やすことが出来たから。
二つ目の理由、これは私の問題だ。
いつしかルノの身長は私を越えて、身体つきも男性になってしまった。子供の頃のように、無邪気で得意気なキスはもうできない。
いつもの二人の場所がなくなって、学園の誰もいない場所を探して暗がりで行うキスは、なんだかいけないことをしているみたいで。
お母様が私にくれたおくすりとは随分違うものになっていた。
入学してから半年ほど経って、私はルノに言った。
「もうおくすりは卒業しない?」
「どうして?」
「私はルノの傷を治せるようになってきたわ。おまじないのおくすりじゃなくて本当の薬や治療が。それに私たちもう子どもじゃないし――」
「絶対に嫌だ!」
いつもニコニコしているか、泣いているか、そんなルノしか見ていなかったから、怒ったルノを見たのは初めてだった。
「リーナは言ったよね、このおくすりは心の痛みをとってくれるし胸があったかくなるって」
「うん」
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