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ルノは「リーナのせいではない」と言ってくれたけど、それは幼なじみの過大評価だ。
現実は厳しくて、あの模擬戦での失敗がマイナスになり私は学期末の成績で二番になってしまった。
長期休み、ルノと地元に帰ることを楽しみにしていたのに。その直前に壁に貼られた成績を見て目の前が真っ暗になってしまった。
新しい一位の生徒を祝福する女生徒達をぼんやり眺める。そこにルノも現れた。
「ルノ、よろしくね!」
「うん、よろしくね」
新しいパートナー達は挨拶を交わした。私に代わってルノのパートナーになった女生徒はとても可愛くて、美男美女が並ぶとまるで最初からパートナーかのように似合っていた。
胸にどろりとした物が流れてくる。
誰もルノのことを治療しないで欲しい。あの身体についた傷をなくすのも、心を和らげるのも全部全部私がいい。
ヒーラー職を目指しているのに、人を救う仕事を目指しているのに。私が一人だけでルノを守れるわけないのに。
こんなことを思ってしまうなんて最低だ。自分に芽生える独占欲が恐ろしくて私はその場を逃げ出した。
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