血を与えし者の運命

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 怒ったかと思えば、いたずらっぽく笑うエーデルにヴィレンスは心が惹かれていった。  そのまま二人は、朝が来るまで話をした。  基本的には、エーデルが一人で喋っているのをヴィレンスが聞いているだけだったが。  好きな季節、好きな花、好きな星。  たった数時間ではあったが、ヴィレンスはエーデルのことをよく知れた気がした。  でも、その間にもヴィレンスの負った傷からは血が止まることなく流れ続けていた。  思っていたよりも深く、エーデルの言った通り、今すぐ人間を喰べなければならない状態だった。  エーデルの声に集中できなくなってくる。呼吸も上手くできなくなってくる。 「ヴィレンス様は、好きな香りはありますか?」 「……ん? ああ、好きな香りか……」 「ヴィレンス様?」  ヴィレンスの様子がおかしいことに、エーデルが気づく。 「ヴィレンス様……?」  心配そうに顔覗きこんでくるエーデルを心配させまいと、ヴィレンスは微笑む。 「大丈夫だ。気にするな。すぐよくなる」
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