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その声を聞きつけ、数人の兵士が草をかき分け勢いよく駆けてくる。
「魔物め!! その女から離れろ!!!」
「フン、人間ごときが」
「おやめください……!!!」
「エーデル! 何をしている、その魔物から離れろ!」
エーデルはヴィレンスを庇うように立ちふさがった。
「このお方は悪い方ではありません! どうか、これ以上傷つけないでください!」
そう叫ぶエーデルを見て、兵士たちがざわついた。
魔物を庇うなんて、あってはならないことだからだ。
「面はいいが、昔から変な女だと思ったら……貴様も、魔物だったのか?」
中心に居た一人の男が言う。
「ち、ちがいます! ですがっ」
「エーデルを捕らえろ!!」
それ以上エーデルが何かを言う隙も与えず、男が叫ぶ。
その一声で剣を構えた男たちがエーデルに向かって走り出した。
「キャッ!」
一人の男が、後ろから抱き着くようにエーデルを捕らえる。
「エーデル……!」
慌てたヴィレンスがエーデルに手を差し伸べる。
「貴様の相手は俺だ」
その腕に切りかかってくる男を避けるために、ヴィレンスは手をひっこめた。
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