血を与えし者の運命

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血を与えし者の運命

   今から1000年ほど前。  人間界と魔界は自由に行き来ができる時代だった。  魔族は腹が空けば人間を求め人里にやってくる。  空腹に限らず、娯楽のために人間を襲う魔族も少なくはなかった。  当然、人間は魔族を恐れ、常に怯え逃げながら生き永らえていた。  目の前で親が殺され、子が殺され。  慈悲や同情とは無縁の魔族たちに立ち向かう術もなく……。  そんな時代に生まれ育った一人の少女エーデル。  エーデルは月光のように美しく輝く金色の髪を持ち、まるで天使のように可憐な少女だった。  両親は魔族によって殺されていたため、祖母と二人で村を転々としながら生きてきた。  魔物に襲われ、いつ死ぬかわからない時代のせいで、どの少女も十二を過ぎる歳になれば男たちに嫁がなければいけなかった。  その日、エーデルも十二の歳を迎えてしまった。  男はみんなエーデルを欲しがった。その可憐な姿に誰もが夢中だったのだ。  でもエーデルは誰にも嫁ぐ気はなかった。  祖母と一緒に暮らしていたかったのだ。  
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