血を与えし者の運命

19/19
10人が本棚に入れています
本棚に追加
/20ページ
 上手く息ができず、少し苦しそうなエーデルのために時おり唇を離すが、呼吸したことを確認するとまた口を塞ぐ。何度も何度も。舌を使い、気持ちよくさせる。しばらくして、エーデルの声に艶が帯びてきたのを見計らうと、ヴィレンスはそのままエーデルを抱いた。 「た、たべるの意味が違います……!」 「そうか? だが、これでも力が回復しそうだ」  そう言って、ニヤッと悪戯っぽく笑うヴィレンスの顔が、エーデルは好きだった。  のちに、エーデルの血にはたった一滴で魔族を治癒できる力が宿っていることがわかった。  ヴィレンスを通し、人間である彼女を受け入れて慕う魔族が増える。  その魔族たちもまた、人間を殺さずともエーデルが分け与える一滴の血で魔力が満たされたという。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!