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それから数年後。
エーデルが十八の歳。
可憐な少女から、誰もが目を奪われるほどの美しい女性になっていた。
しかし、相変わらず異性に興味はなく。お金持ちにも、美しい男にも、見向きもしなかった。
あの一件以来、魔物よりも怖いものは人間の男ということに気付いてしまったからだ。
そして、エーデルはあの赤い目を持つ狼のことが忘れられなかったのだ。
買い物をしていると、街に鐘が鳴り響く。
魔物が現れた警報だ。
人々はみな叫びながら家や森の奥へと非難する。
しかし、人間もやられてばかりではいなかった。
この頃には、魔物と戦う部隊がどの村にも存在した。
各々武器を手に、魔物が現れた方へと兵士たち走っていく。
すれ違うように、エーデルは森の中にある祖母が待つ小屋へと逃げた。
太陽が沈むころには、魔物がいなくなったことを示す鐘の音が遠くから聞こえた。
その音を聴き、エーデルは小屋の外へと出た。
灯りのないこの時代に、月明りは眩しいくらいだった。
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