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祖母の背中は丸まって、思っていたのよりも随分と小さな人に見えた。
僕が大人になったせいもあるだろうが、祖母自体が縮んでいるように思う。
お盆が来るので、お墓まいりがしたいということで、車を運転して祖母を連れて墓に行く。
昔はこんな距離も、運動靴を履けばなんということもなく、週に一度、二度、家から歩いて出かけたものだ。
今は車に乗り込むのも大変になった祖母。
スーパーで花を買って、坂道をやっとで登る。
幼い娘が祖母の手を引く。
「この子は足腰が強いねえ」
少し息切れしながら祖母は感心している。
墓に来たのは十数年ぶりくらいだろうか?
墓は少し老朽化し、水垢や苔、土埃が付いていた。
茶色い茎の残骸を取り出すと、茶色く濁った水が溜まっていた。
祖母はもう満足に掃除はできないが、それでも柄付きタワシで磨こうとする。
タワシが当たると、細かい線状に汚れが落ち、沢山引っ掻いたようになる。
汚れは頑固で、ちゃんとは取れそうにない。
妻が花を備えるのを見ながら、線香に火をつける。
線香の煙は、まっすぐ空にのぼる。
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