お墓まいり

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「トオル、ばあちゃんな、花を変えてあげられないのが辛いんよ。掃除も難しい。自分では来るのも難しい。歳を取るって嫌やね」 「そうだね。できないことは増えるよね」 「あんた、ケアマネジャーになったんやろ?こんな人いっぱいおる?」 「うん、いっぱいおるよ。ほんとにいっぱい」  祖母は少し考え、小さくため息をついた。 「お花、他の人はどうしてる?」 「そうだね、そりゃ人によるけど、最近は造花をお供えする人も増えたよね。ほら、あそこのお墓も造花だね」  何列か離れたところに、造花が供えられた墓がいくつか見えている。 「うん。妹もそう言う。造花にしたら、って。でも、造花にしたくない」 「そうだよね。造花にしたくはないよね。どうしても生花には劣るよ」  うんうんと何度か頷きながら、少し考える。  祖母はどんな言葉を欲しがっているだろうか?
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