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「ばあちゃん以外にお墓に来る人は居る?」
「いや、居ない。この墓はじいちゃんだけだし。古いお墓の方にはみんな行くよね」
墓の状態を見ればわかるが、これは確認すべきことだ。
「じゃあ、親戚に気をつかう必要はなくて、ばあちゃんの気持ちが造花を許せないってことよね?」
「そうね。他には気をつかってないね。荒れ放題は見せたくないけどね」
祖母は少し笑う。
人に気をつかわなくて良いのなら、それだけで随分ハードルは下がるだろう。
妹に造花を勧められたが、自分の気持ちがそれを許さない。
しかしそれを孫に話すのは、自分で管理できないことをわかっているからだろう。
そして、近くない県外に息子も孫も居て、墓参りには来れないこともわかっている。
こうやって論理を組み立ててみると、おそらく祖母は造花を供えるように変わってしまう自分を許す方法を探しているのではないか?
単に「できないから」では足りない、造花に変える理由を探している。
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