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え? うそ、これしかないか、でも。
「ごめんなさい、帰るまではこれでガマンして」
彼の足元にしゃがみこんで、血の渇き始めた膝の傷にピンク色のキャンディー柄絆創膏をペタンと貼り付けた。
絶句して自分の膝に張り付いたファンシーな絆創膏をしばし凝視している彼に、お節介なことしなきゃ良かったかもと一瞬後悔する。
「じゃあ、私、帰るね! あの、高校でも絶対バスケしてね! 応援してるから!」
「え、待って。あの」
自分で言ったことの数々はかなり恥ずかしい。
今まで、誰かにこんなこと伝えたことなかったのに、なぜだろう?
ちゃんと伝えておかなきゃ、ってそう思ったの。
「絶対絶対、続けてね! がんばってーー!」
ポカンと口を開けて私を見ている彼に手を振って走り出したら、背中からかかる大きな声。
「ありがと、第二中のマネージャーさん! オレ、がんばるわ!」
その声に気を良くしながら気づけばスキップを踏んでいた。
いつかまた彼のプレーが見てみたい。
見られたらいいな、と願って――。
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