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「新木、待って」
帰り道、時々一緒になることもある。
先にアオイくんが歩いてたら早足で追いかけて、声をかけようとして勇気が出ずに追い抜くのだ。
そんなとき必ずアオイくんが呼び止めてくれる。
「駅まで一緒に帰ろうぜ」
振り返ると笑ってくれるから、その度に嬉しくなってしまうのだ。
私の方が先に歩いていても、同じように『一緒に帰ろう』と声をかけてくれるアオイくん。
今日もまた私の勘違いバロメータが動きかけるのを必死に抑えなければいけない。
「あ、そうだ。これ」
「はい?」
「新木にいつか返そうと思ってて」
アオイくんから手渡されたものは、ファンシーなカラーバリエーションの絆創膏の束。
「かわいい……、って、やっぱ覚えてた?」
「そりゃ、覚えてるさ。初対面で人の膝にピンクの絆創膏貼って来る女子とか、忘れるわけない」
クックと含み笑いするアオイくんに、またふくれ面をしちゃう私。
「でも、あの時オレめっちゃ嬉しかったんだ」
「え? 絆創膏が?」
「じゃなくて! 新木が、その、声かけてくれたこと」
「あー……、うん」
全部全部思い出して真っ赤になった私に、アオイくんが目を優しく細めた。
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