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「ふ~ん」  幼い僕は、カプセルの役割に納得しながらも、カプセルの中に本当に薬が入っているのか確かめたくなった。  祖父の方を見ると、祖父は紙袋から取り出した粉薬の袋を開けて、コップの水を丁度口に含んだところだった。  幸いにも僕への注意は逸れている。  というか、祖父はいつも警戒などせず、隙だらけなのだが。  祖父が水を含んだ口の中に粉薬を入れようと上を向いた。  僕は、その隙にカプセルを手に取ると、オレンジの部分と白い部分をそれぞれ指で摘まんで、そっと左右に引っ張った。  すると、カプセルは二つに分かれて、中から白い粉末がサラサラとテーブルの上に零れ落ちた。  本当に入ってた、と僕が思ったのと、水と粉薬を口に含んだ祖父が「んーー!」とくぐもった声を挙げたのは、ほとんど同時だった。
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