15人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
7
大きくなった僕は、カプセルを見ると、時々この時のことを思い出す。
そして、カプセルの中身がどれほど苦いのか試してみたい衝動に駆られる。
しかし、祖父の苦味で歪んだあの顔を思い出すと、どうしても最後の一歩が踏み出せないのだった。
いつかチャレンジする日は来るのだろうか?
いや、そんな日は来ないだろう。
ひょっとしたら、まだ見ぬ僕の孫が、いつの日か、その扉を開いてくれるのかもしれない。
決して待ち望んだりはしないけれども。
おしまい
最初のコメントを投稿しよう!