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東条の様子がおかしい。
シュートタッチの調子が悪い東条が落ち込んでたから、朝練を一緒にやろうと声をかけた。それから毎日、落ち込んだり悔しそうにしながらも、必死に練習を続けている。
少しずつ調子も良くなって、最近では笑顔も増えてきた。
そんな東条が、今日は朝からまったく目が合わない。
声をかければ狼狽えるし、集中できていないのが一目瞭然。
「集中してねーな。今日」
そう声をかければ、ビクッとする。
おいおい。おかしいだろ?そんな一言で。
「ご、ごめん。今日なんか調子悪い」
そうだろうな。明らかにいつもと違うよ。
「なんかあったか?」
「な、なんもない!なんにもない!」
いや、嘘だろ絶対。明らかに動揺してるじゃねーかよ。
俺から顔を背けて真っ赤になっている。
あれ?これ……俺は期待していいのか?
シュート練やめるか、と声をかけたら、慌てるようにバッシュを脱ごうとする。明らかに俺から逃げようとしてるな。
俺を意識しているのか、はたまた、ほかに誰かを好きだと自覚したのか……
逃がすかよ。
いつからなんて知らねえよ。
どこがって聞かれてもわかんねえよ。
でもそうだな。あのアクキーを拾った時かもしれない。
タオルを渡した時かもしれない。
好きじゃなければ、こんなに傍にいたいなんて思わねえよ。
一緒に朝練なんてしねえよ。
「1on1、しようぜ」
今がその時。勝負仕掛けるしかないだろ?
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