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「……ん?」
前の集団から、ぽとっと何かが地面に落ちた。
あれは女バスの集団だ。
落ちたものを拾い上げると、それはプロチームのマスコットアクキーだった。しかもこれは、俺が好きなチームだ!
「おーい!女バスさーん!」
まだ入部してすぐだし、ようやく部内の先輩を覚えたばかりなのに、女バスの顔と名前なんて知るわけがない。恥ずかしいけどこれは絶対届けなければと思い、声をかけた。
すると前の集団が揃ってこちらを振り返る。
中には俺より背が高い人もいる。絶対センターだろうな。
「なに?そんな一括りな呼び方して」
中央にいた気の強そうな人に声をかけられて、一瞬たじろぐ。
いや、俺だってこんな呼び方したくなかったよ。
「あ、落とし物です。これ……」
そういって肉球が可愛らしいマスコットのアクキーを見せる。
「それ!私のです!」
端の方から、少し上ずったような高い声が響いた。
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