tip off

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「あー、あちぃ」  練習終わり、体育館のモップ掛けを終えて、腕で汗をグイッと拭う。だけどとめどなく流れる汗は止まらない。 「ヤバ、タオルタオルッ」  せっかくモップ掛けたのに、自分の汗でまた汚すなんて、やってらんねー。  壁際に避けておいた荷物を漁り、ゴシゴシとタオルに汗を吸収させる。 「あーっ、今日も疲れたーっ」  思わずしゃがみ込み、壁に背中を預ける。  入部して半月。中学と高校では、全然違った。  先輩達の身体に比べて、いかに自分が貧弱か。まだまだ細い身体が情けなくなってくる。 「おーい、辻!帰るぞー」  チームメイトの篠原が体育館入口で声をかけてくる。 「おーっ!今いく」  よいしょ、と身体を起こそうとして、角になにかがあるのに気がついた。  タオル?  近づいてみれば、それは俺の応援しているチームのロゴタオル。でも、俺のじゃない。それなら……。  さっきまで体育館の半分を使用していたのは、女バスだ。 「なぁ」  タオルを手に、俺は篠原に聞いてみる。 「女バスってどれくらい前に帰った?」 「ついさっきじゃね?なに、どうした?」 「わり、詳しくはまた今度」  篠原の追求を振り切り、俺はバッシュを脱ぐ。  あー、こういう時に限って紐が解けねー!  もどかしく焦りながらもバッシュを脱ぎ捨てて、校門へと向かう。きっと着替えたりしてるだろうから、まだ間に合うはず。
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