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校門で乱れた息を整えていたら、チラホラと下校していく人が過ぎていく。
何人かを見送った後、彼女がやってくるのが見えた。よかった、間に合った。
今日は集団じゃなく、背が高い女子と二人だ。あの気の強そうなやつ。
「あ、あん時の!」
よりによってお前が俺に気づくのか。そして、指さすなよ。
「なに?まさか奈子に一目惚れで待ち伏せとか⁉︎キモいことしないでよ!」
「おい、こら!勝手に決めつけんな!」
彼女を守るように前に立ちはだかるこの女。悔しいが俺よりでかい。おかげで彼女が隠れてみえない。
「俺は忘れもの届けにきただけだ。部室に行くわけにはいかないだろ」
持っていたタオルを見せると、ひょこっと彼女が顔をみせた。
「私のタオル!うそー、忘れてたんだ」
恥ずかしそうに顔を赤らめている。
「あ、マジで奈子の忘れものなの?……でもなんで、名前も書いてないのに、奈子のってわかるのさ」
ギロッと疑うような眼差しを向けられる。いや、過保護すぎだろ。
「この前に言ってたからだよ。女バスにこのチームのブースターはいないって。男バスも俺以外にはいねーんだよ」
バスケ観戦は楽しみ方それぞれだが、ホームへ行ける方が楽しい。関東には強豪チームがいくつかあるから、みんな好きなチームがばらけたりする。
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