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止まらない汗を冷ますため、手洗い場で顔を洗って体育館に戻ってきた。
今日の体育館はバスケ部の日。一面女子・もう一面を男子が使用している。
「ディフェンスー!ちゃんと手をあげて―!」
男子がちょうど休憩時間という事もあり、女子の声が体育館中に響き渡る。
「ナイッシュー!」
シュートが決まってほめたたえる声が揃う。その中に、東条がいた。バスケ部員の中に入ると小柄にみえる東条だけど、誰よりも声が通って聞こえる。
一か月後には地区大会がはじまる。三年生にとっては最後の大会。
残念ながら俺も東条もユニフォームをつかみ取ることは出来なかったけれど、チームを盛り上げるために出来ることを精一杯している。
試合中、静まり返っているベンチなんて選手の士気も下がる。練習からこうして盛り上げていくのも大切な事。
声を張り続ける東条に視線を向けつつ、男バスの練習へと戻っていった。
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