tip off

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 昼休み、さっさと弁当を食べ終えた俺は、朝練の疲れもあって机に突っ伏しって昼寝の体勢にはいっていた。腹いっぱいになると眠くなるよなぁ。  教室の喧騒も少しずつ遠くなっていった頃、ぱこん、と頭になにかが当たった。  なんだ?せっかく本格的に眠りに入れそうだったのに。  無視してもう一回眠ろうと思ったところに、声がかかった。 「こら!無視するな」  耳に聞き心地のいい、よく通る声。 「……東条?」  顔をあげれば、ケラケラと笑う想像した人物がいた。 「なんで?あれ?お前、隣のクラス……」 「寝ぼけてんねー、辻。いつもより口がもたもたしてる」  ますます笑いながら、東条は空いていた前の席の椅子に座る。 「ごめん。状況がよくわからん。なんでお前いるの?」  その言葉に東条は「じゃーんっ」と言って、四角い台紙をみせてきた。 「色紙?」 「そう!先輩たちに応援メッセージ。女バス・男バスそれぞれお互いにも書こうってなったの。だから男バスの方、まわしておいてくれる?もちろんレギュラーの先輩には内緒だよ」  渡された色紙の真ん中には【目指せ!地区優勝!】カラフルなペンと字体で書かれている。 「大会前日に渡したいからさ。よろしくね」  それだけいうと、東条が席を立った。その瞬間、思わず手が伸びて東条の袖を、キュッと掴んでしまった。 「なに?」  振り返ってきょとんと聞かれると、思わず気まずさが全身を襲う。 「わり……寝ぼけた」  ごまかすように机に顔を隠して寝るふりをする。 「変な辻」  くすっと笑って「じゃあね」と教室から出ていく。  変で悪かったな。お前のせいだよ。
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