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実家では両親が、おはぎを作って待っていた。正確には…
「おばあちゃんとお母さんでしょ?おばあちゃんは?」
二人で作ったはずなのにおばあちゃんがいない。私は挨拶をしてから一番にキョロキョロとした。
「帰ったわ。親が二人揃ってるんだから邪魔はしないって」
「和花のことをお義父さんが可愛がっていたから、お義母さんも気になっているだろうけど…」
この近くのおばあちゃんはお母さんのお母さん。
「あとで寄るよ。藤司、いい?」
「いい。ぜひともお願いする」
「うん、ありがと。孫の中で私だけが女だからか、おじいちゃんがよく連れ歩いてくれたんだよね。出掛ける先は、サイクリングとかハイキングっていう感じなんだけど」
「二人デート?」
「そう、それ」
「いいな」
「でしょ?おじいちゃんはビール一本持ってね」
「間違いなく、和花のじいちゃんだな」
お母さんがお茶の準備をしてる間に、お父さんの前で話す。
「和花、仕事はなんとかやれてるか?」
「まあフツー」
「謙遜してますね。ちゃんと日々、戦力になってます」
「それならいい。転職も珍しくはないし、派遣や短期契約社員も当たり前の今だが、新しい環境でなかなか戦力になるのは難しいと思いながら見ていますから」
お父さんの隣からお母さんがお茶を置いて…おはぎはセルフだね。
「私はきな粉の…中にあんこ…藤司、どっち?おばあちゃんのあんこは甘すぎないからどっちでも大丈夫だと思う」
「あんこにする。自分でもらうわ…大きいな…昼飯終わったばかりだけど大丈夫か?」
「米でも別腹。大丈夫」
「俺も。いただきます」
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