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「和花に限っては、ですか…」
「思い当たることがおありですか?あるでしょうね」
藤司へお父さんの返しも…まあ、私のお父さんって感じだよね。
「それが全くないですね」
「「「えっ?」」」
私たち親子3人の声が揃って
「ひとつくらいはあるでしょ?」
と、私は隣の藤司へ真面目に聞く。
「最初から、たまに言うよな…緩くてだらしなさがあるって事を。でも俺、前にも和花に言ったけど、誰も困らない程度で何が悪いのか分からないんだよな。モデルルームみたいな部屋に住みたいと思っていないし、洗濯乾燥機が大きければ大きいだけ溜めたって問題ないと思うから、本当に分からない。散らかった時に気になれば、部屋ん中であっちからこっちに移動する時にちょっと拾えばいいんじゃない?」
「和花っ」
「はいっ!?」
お母さんが前のめりで私を呼んだのでビックリした声が出る。
「こんないい人、100年生きても会えないわよっ。しっかりと頑張りなさいっ」
「頑張ったらダメってとーじが言う」
「……100年って失礼なことを言ったわ…1000年生きても会えないわね」
「…………………拝まないで、お母さん」
「違うって、拝んでない。天国のお父さんに礼を言ったのよ…きっとお父さんのおかげで“いい人降臨”だと思うから」
「三原さん、うちはいつもこんな感じです。和花の兄と弟がいても、こんな感じです」
「好きな感じです」
「そうですか。和花も決めているようですし、どうぞよろしくお願いします」
「ありがとうございます。引っ越しとか、その都度必ず連絡を入れます」
こうして私の引っ越し、藤司と暮らすことが決まった。嬉しい…
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