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午後、約束の時間にマンションへやって来た藤司の両親は…聞いていた通り、お父さんと藤司がそっくり。お母さんも何センチだろ…高身長だった。羨ましい…
「これ、どこかに飾ってもらえる?ちょっと淋しく見えるくらいのアレンジメントだけど、蕾を多めにってリクエストしたから。日に日に派手に咲いてくるはず」
「ありがとうございます。今はここに…」
生花のアレンジメントをプレゼントされて、リビングのテーブルに置くと…
「お部屋、見せてもらっていい?」
藤司の引っ越しからも初めての訪問だもの…そうなりますよね。
「もう二人で生活しているんだから、寝室は遠慮するわ」
「当然だな、母さん。あとこっちの部屋、どうぞ」
お父さんも一緒に行ったけど、挨拶以降まだ喋らないね…無口タイプ?と思いつつ、コーヒーメーカーのスイッチを押した。
お父さんが口を開いたのは、コーヒーを前に4人で座った時だった。
「藤司、これまでは詳しく聞かなかったが、こうして将来を考えて和花さんと一緒に生活しているとなると、ひとつ聞く」
「何でも聞いて」
「事務所を立ち上げた時、いくらか銀行で借りただろ?」
「借りたね」
「援助した訳でもない、はっきりと金額も知らない。だけど、今どうなってる?」
「終わらせた」
「全額か?」
「そう、今年の頭に全額返済終えてる」
「そうか。よく頑張ったな、藤司。まだ借りてるものがあるようなら、和花さんのご両親も心配だろうと思っていたが、それならいい。それだけ聞いておきたかった」
カッコいい親子だ…こんなところで感動するとは想定外…だけど、藤司がテーブルの下で太ももを撫でたから感動は引っ込んだ。
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