4044人が本棚に入れています
本棚に追加
/120ページ
緩く、食う寝る…会う?
「げっ…なんてこった……」
出掛ける用意をしてからスマホを見て、藤司がすんなり帰ったとも言えないのだと思い知る。
“登録した”
“勝手に申し訳ない”
“でも、すずめ屋に行きづらくなるとかあり得るから連絡先は必要”
“いつでも連絡して”
“近々デートしよう”
私…メッセージもマメでないんだよね…だから数少ない友人にも、“いろいろとおっさんっぽい”と言われる。それでも既読になっただけでいいかって思う。
「ただいま〜」
「あ、おかえり。遅かったね」
「お墓参りして来たから」
「そう。ありがとう、和花」
3年前に亡くなったおじいちゃんの月命日近く、毎月第一土曜日か第二土曜日には実家に帰っている。特に誰に言われたわけではないけれど、わりとおじいちゃんっ子だった自覚のある私に自然に出来た習慣で、気が向けばお墓参りもする。
「おばあちゃんは?」
「さあ?来ないと思うよ」
「そっか」
さあ?と言ってるお母さんは、おじいちゃんが亡くなったあと、毎日おばあちゃんから連絡が入るようになって大変なこともあるらしい。適度に距離を保つことに苦労している気配がずっとある。
「和花、帰ったか。おかえり」
「ただいま、お父さん」
お風呂から出てきたお父さんが焼酎を用意して、私は弟を呼びに二階へ上がる。私には兄もいるが、兄は仕事で上海赴任中。
ということで、今日は月一の実家お泊り日。
最初のコメントを投稿しよう!