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「あ、これ…さっきより開いてますね」
「ほんと、よく水を揚げたのね。それとここの室温が気に入ったんでしょ」
「綺麗ですね」
「これから二人も、たくさん花が咲くように笑って、時々泣いたりなんかして…そしたら次に咲くのは大きな花よ。仲良く頑張りなさいね」
「次に咲くのは大きな花…はい。ありがとうございます」
そんな言葉を残した二人をマンションの下で見送って、藤司と部屋に戻る。
「今日会えて良かったよ」
「疲れなかった?」
「全然。疲れたのは朝だけ」
そこでエレベーターが止まると
「わっ…」
「疲れてる和花を歩かせられない」
彼は私を縦に抱き上げて廊下に出た。
「ちょっと…人、来るから」
「来ない、来ない。来たって悪いことしてるワケじゃない」
そう言う藤司がとても嬉しそうだから、まあいいかと思ってしまう。これで、まあいいかと思うところが“好き”で“合う”の為せる業かな…
「藤司」
「うん?」
「二人で、お互いに水にも花にもなろうね」
「そうだな。太陽にも」
「うん。優しく照らして」
「時々熱く…」
そう言ってまた艶っぽい視線で私を見つめる藤司と、そっと唇を重ねた。
【本編完結】
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