~1年後~どんな花を咲かせましょ?

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「武本、撮って」 「はいよ」 藤司が武本先生に合格通知を撮ってと言ったので、どうして?と聞こうとした私に 「おめでとう、和花」 と小箱が手渡された。 「ありがとう」 びりっ… 「だから~アリちゃんの開封の素早さよ…」 「名刺だ…注文してくれてたの?」 見たことのあるケースの登場に藤司を見る。あの日以来、名刺の話をしたことなかったのに… 「合格だと思ってたからな。見て」 「カッコいいデザインにしてくれた?」 と言いつつケースの蓋を取った私は固まった。 行政書士はそうだよね…そのための名刺だもの…でも… 「…三原…に…三原和花って…」 「うん。和花、俺と結婚してくれる?これからずっとこれまで以上、何倍も大切にすると約束する。だから俺と結婚しよう」 「藤司…」 三原和花と印刷された名刺を置いて、思わず彼に飛びついた…三原和花になることに違和感がないどころか、嬉しさと期待感と満足感で胸がいっぱいだ。 「あーあ、おめでとうだけど、アリちゃんって呼べないのか?三原和花もいい感じ過ぎるけど。三原くん、誓いのキスまで撮る?」 「武本に見せない」 「ああ、そうですか、そうですか。じゃあ、はい。アリちゃん、この合格通知書とその名刺持って、三原くんとこっち向いて」 私は武本先生のスマホに見えるよう、両手に合格通知書と名刺を持ち、藤司は後ろから長い腕を私のお腹の前で組む。 「合格と結婚、おめでとう!」 「「ありがとう!」」
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