4192人が本棚に入れています
本棚に追加
「みんな…笑ってるけど…」
「アリちゃん、ビミョーに膨れてる?」
「ふつー。武本先生はどうしてすずめ屋か知ってるんですか?」
「知ってるよぉ。三原くんからずっと前に聞いたから」
え…ってことは……そっとみんなを見渡すと、全員ニヤニヤと私を見てる。
「しげちゃんとチョウさんは絶対に知ってるんだよね…」
「「知ってる」」
「だよね…聡美さんと奏多くんと私…若い世代が知らないってことでいいですね…」
「いいけど、アハハ!私と奏多はここ初めてなのよ、何度も言って悪いけど」
「奏多を人数にカウントするところが…アリちゃん、くくくくっ…」
武本夫妻は完全に私をアテに乾杯したよ…聡美さんはお茶だけど。
「おっちゃん。なんですずめ屋っていうのか、私たち3人に教えて」
ここでしげちゃんがお腹を抱えてひき笑いを始めたので
「しげちゃん、それ何年ぶりかに見たけど、もう若くないからヤバイよ」
と優しく忠告しておく。何か言ってるみたいだけど全く言葉になっておらず不気味なだけなのに、チョウさんが翻訳するから私も可笑しくなってきた。
「3人って、まだいう……って笑っとる」
「あはははっ…いいでしょ?ね、いいよね、藤司?」
「和花だからいい」
そう言う彼も大笑いしている。
「のんちゃん、うちは雀荘によくある“なんとか荘”にするのが嫌で、前を取ったのよ。一文字で読むならすずめ屋がいいってね」
私の大好きな空間で、大好きな人たちがよく笑う夜だった。
【完結】
最初のコメントを投稿しよう!