緩く、食う寝る…会う?

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久しぶりに会って二人とも一瞬固まったのは、一度私がケンちゃんに告白したせいだろう。 大学生になったケンちゃんに、高校生の私は一度だけ告白したんだ…もちろんフラれたんだけど。 “好きな子がいるから?” フラれて、なお、そう聞けたのも10代の無邪気さ…今なら無理だと断言出来る。その時ケンちゃんは、その子のことを想い続ける宣言で応えた。 “これからもずっと好きだと思うんだ。変わらず…ずっと…だから和花は俺、今日でやめとけ。つらいだけだからな” それから幼なじみに戻った…といっても、進学した大学も違うし、子どもの頃と違って滅多に会うこともない。お兄ちゃんとケンちゃんだって、それぞれの友達もいれば、勉強にバイトと別々の生活があるから同じようなもの。 私はケンちゃんの言った“つらいだけだからな”というのは、ずっと心のどこかにありながら、そんなにつらくはない自分を“憧れだったかな”とか“淡い恋心を抱いていた”と理解して、何人かと付き合ったことある。 出目っぽい私の顔が好みだという人が一定数いるのか、大学生の間は時々…まあまあ結構、告白された。でもファッションもネイルも髪も流行を追うことなく、メッセージのやり取りもマメでないと可愛くないらしい…必ずフラれるのは私だった。 その都度“まだケンちゃんのことが好きだから、私が悪かったかなぁ”と思ったりしていたけれど、今となっては、どれも淡いというか淡々としていたようにも感じる。ケンちゃんも含めて。 ……藤司の熱は異常だったな…どっちの熱か分からないけれど…何を思い出してるんだ…
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