緩く、食う寝る…会う?

8/9

4110人が本棚に入れています
本棚に追加
/120ページ
「いないね。残念ながら心配無用ってこと。和花は?俺が家まで送っても大丈夫か?」 「同じく心配無用…なかなかのアラサーチームだね」 「俊也が一抜けだな」 「たぶんだよね」 「なんで、たぶん?赴任が終わったら結婚するだろ?」 「テツが電撃婚とか?」 「ありそうか?」 「全く」 また普通に続く会話を中断しない程度に、時々キョロキョロと雷の行方を確かめる私。 「近づいてはないな、良かったな」 「うん、後方左斜め45度に光ってはいる」 後方斜め45度…とリピートしながら笑うケンちゃんに 「美南ちゃん…どうしてるんだろう」 と言ってみた。深い意味はない。ただお兄ちゃんやケンちゃんが31ってことは、美南ちゃんも同い年なわけで…共通の知り合いの話題ってこと。ただそれだけ。 「さあ?」 「ふーん」 「和花、ずっと転職せず、部屋も変わらずか?」 「うん。経理部内の異動はあったけど」 「今は何やってる?」 「給与保険管理計算業務担当。給与関係はね、社内結婚した人は異動時期に関係なく外されるんだよね。だから変な時期にいきなり変わったけど、そのあと不動」 少し仕事の話をしてから、大粒の雨が小粒になったとき 「俺さ…後悔してるんだよな…10年以上経って今さら…」 ケンちゃんが前を見たまま言った。
/120ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4110人が本棚に入れています
本棚に追加