緩く、食う寝る…会う?

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ケンちゃんが言う“10年以上”というワードには心当たりがあって、“今さら”というワードには疑問があって、“後悔”というワードに、私の心当たりが違っていたと思った。だって、私の告白を断ったことを後悔はしないでしょ? そして昨日、藤司に聞かれた “後悔してる?” を思い出した。 「あ、ケンちゃん…この先、右折して住宅街に入って」 「オッケー。和花、今、好きな人いる?」 「ぇ…私?」 想定外の展開?と思いつつ、黙って指で左を差す。 「そこのハイツ」 「到着」 「ありがとう」 「ドライブにいい距離。和花に付き合ってる人がいないんだったら、また誘っていいか?」 「…どういう急展開でしょ…?」 「だよな。今の俺なら、絶対に和花を選ぶのにっていう後悔がある」 分かるような、分からないような…でも私は自分の気持ちを伝えるだけ。 「今の私は、付き合うとか結婚とか願望がないの。現状に満足しているし、誰かと付き合うことに向いていないことも知ってるから」 「日常に満足してるってことだな」 「うん」 「わかった、また連絡するよ。今日みたいに俺と話すことから、日常に入れてってくれたら嬉しい。あ、今なら濡れないんじゃないか?またな」 空を見てドアロックを開けたケンちゃんに、もう一度ありがとうと言うだけで部屋に入る。ふーっ…この週末の私は、何かフェロモン爆発してたのか?イケメンが連続で釣れるっていう人生で二度とない経験をしたよ。 こんな緩く構えていられたのは数日のことだった。
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