事件…処罰?

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「急に何事だ?」 おっちゃんが二人の警察官に聞いた時に、おばちゃんが階段を駆け上がって来た。 「何、なに?何かあった?」 「ああ…中筋さん?」 「はい、こっちが旦那ですけど」 おばちゃんがおっちゃんを指差し、警察官はくるっと部屋を見渡して応えた。 「いや、あのですね。すずめ屋さんの賭け麻雀の通報があったものですから」 「長年問題がないと言っても、通報があったので一応です、一応。ご心配なく、奥さんは下の営業をされていて大丈夫ですよ」 警察官は二人とも穏やかなもので、近くの交番から来たと言いながら、卓周辺に金品の気配がないかをチェックしたあと、部屋にいた7人全員の身分証明書を見せてくれと言った。 「そんなもん、持って庭に出んわ」 そうだよね…しげちゃんとチョウさんは、住所氏名生年月日などを口頭で伝えて、警察官はそれを本部へ照会している。その間に、先に調べの終わった別の卓の3人は、やる気が失せたからと帰って行った。 そうだよね…今日この後、やる気はでないよね。 「こんばんは。パト原付、ここ?何か?」 「おう、先生。もう終わる」 「こちらは?」 「うちの税理士先生」 「ああ、それならちょうどいいですね」 警察官は藤司に 「どちらの先生かだけ、いただいても?ここの収支に問題を感じたことはありませんか?」 と同じように身分証明書を求めて聞いた。藤司が免許証と名刺を差し出し、問題ないことを伝えたあとで、警察官はここへ来た理由を説明した。 「ここでは飲食を賭けることはありますが、それは“一時の娯楽に供するもの”にあたりますから、違法ではないですね。賭博罪にはあたらない」 「はい、三原先生のおっしゃる通りです。今、確認した中で大丈夫です。いやぁ、通報を無視は出来ないのでね。皆さん、ご協力ありがとうございました。お邪魔しました」
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