事件…処罰?

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興ざめした、と、5人で下に移動し、皆で一杯だけ飲んで帰ることにした。 藤司はご飯を食べてなかったから、おばちゃんに揚げの玉とじ丼を作ってもらている。 「なんだろうねぇ…誰かが外で騒ぐような迷惑も掛けていないし…」 おばちゃん、気になるよね。 「先生が言ったことくらい、この商売を始める前に重々分かっているしな。どんだけ調べてもらってもいいが、客によっちゃ、警察官の立ち寄り場所ってのは鬱陶しいわな」 「一瞬だけでも、自分が調べられたと思うからな」 「年寄りはええが、のどかや先生は体裁が悪いこともあるよな」 おっちゃん、チョウさん、しげちゃんが言うけど… 「うん、まあ大丈夫。ロトくじを覗かれたくらいの気持ちで」 「ははっ、和花の感覚、面白いな。あ、ロトはうちの武本が好きですよ」 お箸の手を動かす藤司の言葉におばちゃんが喰いついた。 「今日、武本先生じゃなかったのよぉ」 「南田でしたか?彼女の方が事務作業してるんで」 「あの先生、美人だな」 私の分からない話を、藤司がお箸を置いて説明してくれた。 月曜日に預かった帳簿を今日終日外出の藤司に代わって返却にきたのが、南田秋子社労士。武本要司法書士と藤司の3人の事務所で、税理士と司法書士の仕事が多いから南田社労士が事務作業をすることが多い。 おばちゃんは武本先生ファンだが、なかなかお目にかかれないらしい。おっちゃんは南田社労士のファンのようだ。 「三原税理士のファンは?」 「和花に頼む」 「………」 そうきたか、藤司………このすずめ屋でこんな生温い空気は初めてだよ。
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