おっさん女子が咲かせる花

事件…処罰？

「していません」

していないものはしていない。

「それなら良かったです。していなくて当然ですが」

呼び出された私が部屋に入り、最初に口を開いたのは人事部長。今、応えたのが経理部の部長で、一応私の上司。でも経理部内での担当が多いので、直接的な私の上司の上司の上司にあたる人。どちらとも初めて直接話すよ…

「どういう訳で、私はここへ呼び出されてますか？」

賭け事と聞かれたから、すずめ屋のことだろう。

ここでは昨日の警官騒ぎと同じように、おっちゃんが話をして終わりというわけにはいかないのだから、自分が出来るだけ状況の把握をしたい。誰が、何のためにコソコソと動いてるんだ…

「今朝、お客様相談窓口、それからこの本社の公開している総合メールアドレス宛に同じ内容が届いてね。有田さんが賭け麻雀、賭博の常習だと。どうしてこんなものが届いたのか、心当たりはありますか？もうすぐ終業時間ですが…私たちも朝からこの時間まで有田さんの入社以来の勤務状況などを細かくチェックしていました」
「全く問題ない。信頼出来る社員だという認識で今の業務に就いてもらっていることを確認した上で、現在の様子も高野くんに聞き取りました。こちらも全く問題ない」

はぁ…部長の言う高野くんとは、私の直属上司だ。

入社以来を調べたなんて、この部長たちは指示しただけに違いないのだから、メールを報告した人や調べた人、それから直属上司はこの件について知っているのか…メールも何人が見たことやら…

「会社への嫌がらせではなく、有田さん個人のトラブルだと私たちは考えていますが、心当たりはありますか？」
「ありません」
「それはトラブルがない、と？」
「はい」
「では賭け麻雀と言われることに、心当たりはありますか？」