4106人が本棚に入れています
本棚に追加
/120ページ
どう答えるべきだろうか、と思ったのは一瞬だった。正直に言うしかないもの。面倒くさいのはイヤだ。
「違法な事はしていませんが麻雀はやります」
「麻雀は問題ないですからね。家で?仲間と?」
「いえ、雀荘です」
「なるほど…そこに出入りしたって問題はないはずなのに、どうしてこういう事になっているのかな…」
それは、そのまんま私のセリフです。
「不特定多数の出入りがあると言えるでしょうから、そこで何かあったんですかね…」
「何か、とは?」
人事部長が経理部長に聞いて、二人の連想ゲームが始まる。
「有田さんに負け続けた腹いせ、とか?」
「まあまあ、可能性として無くはないですが、金銭を賭けてなければ巻き上げられたとも思わないですよね?」
「そうですが、気分は最悪ってとこですか?」
「気分でこんなことまで…その雀荘には、有田さんの勤務先を知ってる人がどのくらいいるのか…」
ここで二人の視線が私に向けられた。
「ヘッ…勤務先…勤務先を知る人…ですか?えっと……4人ほどですかね…でもその人たちは仲間です。絶対に問題ない…っていうか…朝からメールなんて出来る人たちじゃありません」
すずめ屋夫妻、しげちゃん、チョウさんは私の勤務先を知ってるけど、朝が遅いしメールなんて無理……仲良く昨日一緒に調べられたわ…って、藤司も勤務先を知ってるな…
「有田さん」
「はい」
「明日の金曜日、一日だけ自宅待機してもらえますか?」
最初のコメントを投稿しよう!