好き…嫌い?

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電話を切って、目の前にあった閉店間際の小さなスーパーで買い物をして、タクシーでうちまで来た藤司は 「和花」 と狭い玄関に荷物を置いて、靴を履いたまま私の肩を撫で、じっと顔を見た。 「なに?」 「…………ズタボロの大丈夫じゃない程度を見極めてる……」 「わはっ…無理でしょ」 「今日も可愛いけど、すごく疲れてるな…ちゃんと食べたのか?」 「あーうーん…」 食べたいと思わなかったから休肝日の缶ビール1本だけだ。 「ちゃんと食べないと。上がっていい?一緒に食べて、話そう。詳しく聞かせてくれよ?」 そのつもりですとも。 私は藤司の買って来てくれたお惣菜を見て、缶ビールを2本持って座る。 「俺、飲まないつもりだけど?」 「缶ビール1本で真面目な話が出来ないなら、そうだね」 でもいっぱい飲みながら、ちゃんと麻雀してたでしょ。 「じゃ、ごちそうになるわ。話はどこからでも」 彼のその言葉を合図に、とりあえず今日の会社での出来事を話す。お惣菜のパックの蓋をお皿にして、時々お箸を動かしながら話をしていると、彼は途中からお箸を置いてじっと私を見たまま話を聞いていた。 コールセンターへってことまで伝えても、まだじっと私を見たまま、動かない彼は何を考えているのだろうか…と見つめ合う。 「和花、話は分かった。何が起こったかは分かったけど…電話で“ココロがズタボロ”って言っただろ。そのココロは聞けないか?今の話で傷つくポイントはいくつもある。でも俺の想像でなく、和花が吐き出せる?俺が必ず力になると、約束する」
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