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今日は噛みつくようなキスでなく、ズタボロを慰めるキスをしたあとで、一緒に眠ると言った藤司は、抱きしめるのはマズイから手を繋いで寝ると宣言した。
「まだ…藤司のような人間は好きって…言っただけなんだけど…」
「手を繋ぐくらいでちょうどいいか?友達とお泊り?ってさ、和花…もうあれこれ考えずに目を閉じること」
そっと頭を撫でられたことに合わせて目を閉じる。
「今夜は俺がこうして寝ることが出来るけど、明日の和花はここで一人」
そうだね…
「今よりズタボロを感じるかもしれない」
そうだね…
「見えない相手、仕事のこと…それだけでキツいのに、男だとか女だとかで頭使わなくていいから。好きな人間同士で上等」
あぁ…そーゆーの…好き……ねむっ…でも…聞いて…
「そーなの……すずめ屋も…それ……」
「そうだな。高齢者って言われるあの人たち…和花の友達って聞いて理解しない人間もいるだろうけど、すずめ屋のあの人たちと和花は心の通じ合う友人だよな。そこの和花を見ていて惚れた人間が、俺。ただそれだけだよ…おやすみ、和花」
「ぅん…」
頭が重く沈む気配を感じると同時に
「明日も心は……俺の気持ちは和花に寄り添ってるから、一人じゃない」
そう聞こえた気がした。
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