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サバ缶玉子とじ丼を作って、食べ終わったのがいつもの帰宅時間帯。やっぱり長い一日だ。
ダルさを蹴散らすように動画を倍速で次々と見ていると、ケンちゃんから電話があった。
今のこの事件に全く関係ないケンちゃんの名前を見て、少しホッとするのを感じながら
「はい、ケンちゃん?」
とタブレットの動画はそのまま放置して寝転がる。
“お疲れ、和花。もう帰ってる?話して大丈夫か?”
「うん、大丈夫」
ずっと帰ってるんだよ…今日は…
「この前、送ってくれてありがと。写真も…あれ、懐かしい公園からだよね?登った?」
“和花、時々行ってただろ?皆で一緒にも行ったよな…思い出したから行ってみたら、思ってたより低かった”
「足の長さが3倍くらいになってるからだね」
“ははっ、いつ比較で3倍?成長はした”
「お兄ちゃんもテツも大きいけど、180オーバーはケンちゃんだけだよね。うちの栄養はちょっぴり足りなかったか…」
“遺伝だろ?和花はいいサイズ止まり”
「あぁーそうなんです、そうですよぉ。ドマリ…デス」
もう少しで160だったのに...私のこのセリフを私の家族やケンちゃんは、よく知っている。そして、この反応もよく知っていると、ケンちゃんはスマホの向こうで愉しげに笑った。うん、うん…もっと笑っていて…今日一番の穏やかな時間帯がありがたい。
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