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“明日、時間ある?”
たわいない会話がこんなにも心地よく…80分くらい続いたところで、ケンちゃんが私に聞く。80分くらいというのは、ケンちゃんのこの言葉で起き上がった時の動画再生時間でわかったんだけど…
「明日?」
“和花に会いに行っていい?”
わざわざこっちまで来てくれるという行為が嬉しいくらいには弱っている。けれど…今日だけの自宅待機を謹慎のように捉えている自分もどこかにいて、誰かと会ったり出掛けたりする気にはなれなかった。
「ケンちゃん」
“うん?”
「私、嘘は言えないの」
“うん、知ってる”
「でも今の状況を正直に説明するのは……ちょっと今は、ムリ」
“何かあった?”
「あった…けど、今は言えない」
“それはまず…命の危険があるような状況ではない?”
「あははっ、それはない」
“うん、まず良かった…そんな状況なら今すぐ迎えに行くけど、そこに居ても大丈夫なんだな?”
「大丈夫」
どんな心配だ…斜め上の問いに笑ってしまったじゃないか。
“和花”
「うん、なに?」
“言えないけど、普通でない状況があって、明日は和花にとって都合が悪いってことだな?”
「そう」
“わかった、それなら1週間待つ。1週間待って会って状況は確かめる。普通でない状況がそれ以上続くのはダメだ。これは絶対。それまでにも必ず助けが必要な時には連絡しろよ?理由は聞かなくたって迎えに行ってやるから”
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